2023年09月05日
「宇宙」
何十年も心の奥に潜みつづける素材。
よし!と意気込んで書いたことがこれまで何度もあったが、まともなものを世に出した記憶はない。
“宇宙”の後始末はいまだ終わらず、ずっと気分がすぐれないまま。
ある日のこと、「薫風」との旅が終わった。
珍しくキリが良い終わり方だった。
墨がかなり余った。
“薫風”用に切った紙も目の前にたくさん転がっていた。
「せっかくだから何かいいのねーかな〜」と思っていると、ふと脳裏に“宇宙”が浮かんだ。
どうやらこれまでの「宇宙」の制作は、全て淡墨で横形式の構想であったことに気づく。
文字素材の情報量のせいか、古代文字やヘタウマみたいなイメージ、どうしても力み過ぎたり気を衒ったような方向に行きがちだった。
全く逆の発想で、行草体の縦形式、墨は黒い濃墨はどうかと思った。
本当に軽い気持ちで書いてみると何とも言えない不思議な手応えを感じた。
師匠がたまに使った褒め言葉ひとつ
「おぉ〜、裏が出たの〜、、、」
この感覚はそのことなのかしらと思った。
あとは、とことんまで書き込むのみ。
“宇宙”を掴むまで、、、
自分自身が“宇宙”になるまで、、、
書くは書いは、、、
書いても書いても疲れない。止まらない!
気づけば、300枚を超えたか。
Two Months Off、Radio GAGA、Creep、・ISMあたりを爆音で繰り返し聴いていたと思うが、途中から記憶が飛び空白。
空っぽの頭の中でキーーンという周波数の高いノイズのようなものが響く。
魂は全てを絞り出した残りカス、
しかし、肉体は極めて元気だった。
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